迷子のシンデレラ
「それは……。
やっぱり今でも私は彼にふさわしくないのだと思っています。
けれど彼にも幸せを、周平さんにも家族の愛を……。
琉依だけでも周平さんの側に」
「智美? 何を言って……。
僕には君が必要だ。
琉依だけだなんて、そんな……」
憤慨した葉山が智美の両腕をつかんで揺さぶった。
智美は葉山を見られなくて俯いたまま。
「痴話喧嘩はよしてもらおう。
その琉依という子がどうして周平の子だと言えます?
あなたが嘘をついていないという証拠は?」
いつまで経っても背を向けてこちらを見ようともしない葉山の父に痺れを切らして智美は彼の前に回り込んだ。
「あ、」と葉山が止めようと伸ばした手を振り払って。
「見てください。
琉依の瞳を見ていただければ、周平さんと同じ……。
……え?」
葉山の父の顔を見て愕然とした。