迷子のシンデレラ

「それでは智美さんは周平は恵麻さんと結婚を進めてよいのですね?
 そうなれば若い二人だ。
 すぐにでも子どもにも恵まれるだろう」

 それはそうだ。
 琉依だけでもと思っていた自分はどれだけ独りよがりだったのだろう。

 自分たちは誰からも必要とされていなかった。

「お時間を頂きありがとうございました。
 私はこれで……」

 頭を深々と下げると周蔵は胸ポケットから封筒を取り出した。

「これを。
 親子二人では何かと入り用でしょうから」

 つまりは手切れ金だ。
 グッと両手を握りしめ「いりません」と言い出しそうな言葉を飲み込んだ。

 受け取らなければ先へ進めない。
 これを受け取ってその見返りに今後一切、葉山とは関わらない意思表示をしなくては……。

「……ありがとうございます」

 もう二度と彼とは……。

 心を殺して封筒へ手を伸ばす。

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