迷子のシンデレラ

 目を伏せた周蔵は呟くように口を開いた。

「周平の母、潤子は異国の血が入っている」

 これには葉山の方が驚きの声を上げた。

「異国の……。
 だって母さんは柴崎潤子で……」

「あぁ。私が話したがらないから周平も知らなかったのだね。
 潤子の祖父にあたる人がロシア人らしい。
 当時は黒や茶色以外の目の色は珍しく随分とつらい思いをしていたよ」

 周蔵の話しぶりから悔やんでいるように感じた。

 自分も両親を亡くしているから分かる。
 最愛の人が亡くなってどれだけたくさんのことを悔やんだことか……。

 でも……。

 その最愛の人が遺したその人の面影を拒絶するなんて寂し過ぎる。

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