迷子のシンデレラ
「うん」
口に出すと溢れる想いが胸を熱くさせた。
テーブルにあった手に手を重ね、唇へ柔らかな感触が降ってくる。
ゆっくりと触れた唇は確かめ合うように何度も重ね合った。
愛おしくて胸の奥が締め付けられるように痛い。
それなのにもっと彼を感じたい。
何も考えず彼に溺れたい。
その思いが彼の首に腕を回させて、深いキスへ変わっていく。
もっと……もっと……。
「あー。あー」
どこまでも穢れのない声を聞いて我に返る。
葉山は腰に回していた手を服の隙間から滑り込ませて体のラインをなぞった。
「周平……さん」
「ん。琉依にミルクあげなきゃね」
言葉とは裏腹に智美へ振れる手は離されるどころか甘い刺激を与えていく。
「……ダメ。まだ琉依が起きてる」
フッと息を吐いた葉山は智美から体を離してミルクを受け取った。
離された温もりが寂しい。
「ほら。ぼやっとしないで。
こっちへおいで。智美」
甘い囁きにも似た声に誘われて彼へ寄り添う。
付き合いたての恋人同士みたいに離れられない。