迷子のシンデレラ

「さすがに見せつけはしないよ。
 それに悪いことしてるわけじゃないでしょう?
 愛し合うんだから。
 両親の仲がいい方が琉依も嬉しいよ」

「そう……ですね」

 愛し合う両親。
 琉依にとっては智美と葉山が両親だ。
 その事実は変えられない。

 そのことをもう少しだけ誇ってもいいだろうか。

 ミルクをもらいお腹いっぱいになった琉依はうとうとし始めている。
 抱き上げてトントンと背中をたたく葉山がゲップをさせてベビーベッドへと寝かしつけた。

 昼寝はいつもすんなり寝てくれることが多いとは言え、いつも以上にスッと寝てしまった。

「可愛いな……」

「えぇ」

 二人で琉依を見つめて温かい気持ちになった。

 不意に手を取られ、手の甲へキスをされた。
 間近で見る彼の美しい顔。
 縁取られたまつ毛が瞬く様までをも見つめた。

「手の甲へは敬愛のキス。
 手のひらへは?」

 シャーロットの時にされた質問と同じ質問だ。
 その時はなんだろうかと気になっていたのに、その後の刺激的な時間を過ごすうちに考えられなくなった。

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