迷子のシンデレラ
目を開けると暗闇だった。
琉依の泣き声が聞こえる。
ぼうっとした薄明かりの中で大きな影が揺れていた。
「ご、ごめんなさい。
琉依を任せっきりにして」
夜泣きに気づけないなんて母親失格だ。
彼に溺れ、彼の腕の中で……。
少し前の熱情が思い起こされて体が熱くなる。
「いい眺めだけど、僕をその気にさせるのは今の状況では少し意地悪じゃないかな」
悪戯っぽい言い方に自分の姿を改めて確認すると形ばかり着ている服は着崩れていて無駄にいやらしい。
「ひゃぁ」
素っ頓狂な叫び声をあげ、手遅れだろうと布団を持ち上げた。
「フッ。体は平気?
あまりにも性急に想いをぶつけてしまったみたいだ。
ごめんね。抑えられなくて」
妖艶に弧を描く唇を恥ずかしくて見ていられない。
「私こそすみません。途中……でしたよね」
「ほら、そうやって煽って僕をどうしたいのさ」
彼の隠そうとしない欲情におののくと琉依は火がついたような大泣きに変わった。