迷子のシンデレラ

 熱い息遣いに変わっていく葉山に智美も応えて彼へ触れる。
 唇を重ね、鎖骨にキスを落とす。

「……ッ。ねぇダメだったら。
 気が変になりそうだ」

 琉依を落とさないように必死で理性を保とうとする葉山が愛おしくてますます悪戯をしたくなる。

 すると琉依をベビーベッドへ素早く置いた葉山が反撃を仕掛けてきた。
 突然の深いキスに崩れるように彼へしがみついた。

 けれど琉依が大きな声で泣き始め、彼は諦めたように智美を解放した。

「せっかくうとうとしてたのに智美のせいだからね」

 鼻に噛みつかれて笑みをこぼすと「私が抱っこします」と交代を申し出た。

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