迷子のシンデレラ

「いいよ。冗談だってば。
 次は意識を飛ばさないようにちゃんと休んで」

 妖艶に微笑んだ彼に敵わないなぁと肩を竦め、それでも立ち上がる彼の後に続いた。
 泣いている琉依を抱き上げる葉山に寄り添って、背伸びをするとそっと唇を重ねた。

「離れたくないんです。
 周平さんがあやしてくれている間、キスをするのはかまわないでしょう?」

 困ったような嬉しそうなような複雑な表情を浮かべた葉山は体を屈めて智美にキスをした。

「体が二つ欲しいよ」

 抱かれて少しボリュームの下がった琉依の泣き声を聞きながらキスをする。
 琉依と二人きりだった時は夜泣きの時間がこんなに愛おしい時間になるとは思わなかった。

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