迷子のシンデレラ

 琉依が眠りについた頃、存分に愛を確かめ合って彼と重なり合った。

 初めてのあの日、彼の正体を不安に思いつつも抗えない気持ちで彼へ体を許した。
 その時を遥かに凌駕する想いは彼と体を重ねることで幸せを感じさせた。


 隣で横になる葉山は腕に智美を抱き、もう片方の手で智美の髪を弄ぶ。

「あの日、凛として座る君に目を奪われた。
 控えめに見えて芯の強さを感じて。
 一目惚れだった。
 そして中身を知るうちにどんどん好きになった」

 幾度となく語られる智美への想い。

「シャーロットはどこの誰だか知らなかったんですよね?」

「あぁ。でも僕の誘いへ控えめに乗った君や、踊れないと言って僕に不安げにしがみつく君。
 他にも全ての君の行動が愛おしくて、榎下智美として僕の前へ現れる前から僕は君に落ちていたよ」

 彼の熱い想いを聞いて一抹の不安を感じた。
 それはずっと智美が囚われていた不安。

「それは……素性が分からないから神秘的に見えて惹かれただけなんじゃ……」

 ずっと思っていたこと。
 彼ほどの人が自分に惹かれるはずないと……。


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