迷子のシンデレラ
葉山は小さく笑みをこぼすと呆れたように話し始めた。
「智美は自分の魅力に気づいてないんだね。
僕が惹かれたのは内面から滲み出る美しさだよ。
だから智美として再開した後もシャーロットのわけないと思うのに、同じように惹かれた」
手を取って何度目かの手の甲へキス。
そして手のひらへもキスをした。
「だから君に会う度に手のひらにキスをしたんだ」
くすぐったいキスに胸が熱くなって彼の胸元に顔をうずめる。
そこでふと思い出して、智美は自分の首元に手をやった。
「あの、これ。
随分遅くなってしまいましたけど。
やっぱり周平さんが持っていてください」
華奢なチェーンに揺れる男物の指輪。
それを手にした葉山は微笑んだ。
「また僕が預かっておくのかい?
それとも……」
智美はかぶりを振って彼の首へチェーンをかけた。
「母から譲り受けたのは、本当に大切な人が出来たら送りなさいと。
だから、周平さんに持っていて欲しいんです」
「あぁ。やっと本当の意味でもらえるんだね」
嬉しそうにそう言った葉山は言葉とは裏腹に首から外してしまった。