迷子のシンデレラ
「周平……さん?」
不安げに見つめる智美に葉山はウィンクをした。
「これは琉依にあげよう。
大切な人。まさにその結晶だ。
それまでは智美が持っていて。
自覚のない智美へ男避けを兼ねて」
これには智美が頬を膨らませた。
「私が周平さん以外になびくとでも……」
真っ直ぐに見つめるエメラルドグリーンの双眼に見据えられて息を飲んだ。
目が合うと和らいだ視線の主が少し不貞腐れた声を出す。
「それ以上に僕が心配なの」
それがなんだかおかしくて笑う。
「ずるいです。周平さんこそ……。
周平さんは私と違っておモテになるみたいですし」
自分の遊んでいた頃の行動を言及されたと思ったらしい葉山はバツが悪そうに言い訳をした。
「そ、それは……心に決めた人が現れるまでの……。
今はただ一人……いや、二人かな」
「え……」
思わぬ告白に言葉を失うと葉山は笑う。
「智美と琉依に決まってるでしょう?
早く一緒に暮らしたいよ。
僕が智美のアパートに転がり込もうかな」
「そ、それは……」
「ダメなの?
僕はこんなにも智美と離れたくないのに」