迷子のシンデレラ
彼のちょっとした仕草に一喜一憂する自分にほとほと呆れてしまう。
どの口が彼の幸せを願って自分が身を引くと言うのだろう。
こんなにも囚われて離れられないのに。
彼が側にいることを確認するように彼の体に腕を回した。
抱きつく智美に呼応するように葉山は告げる。
「愛してるよ。智美」
「私も……愛しています」
見つめ合って再び深いキスをする。
脚を絡め合って温もりを確かめ合う。
「子どもはたくさん欲しいなぁ。
賑やかな家族に憧れてた」
「私も……」
目が合うとフッと笑った葉山は「でも……」と付け加えた。
「もう少し恋人の雰囲気も味わいたいから、二人目はのんびり行こう」
智美も彼の意見に賛同して彼の指に自分の指を絡めた。