迷子のシンデレラ

「私も、もっと周平さんと、その……」

「イチャイチャしたいんでしょう?
 まずは結婚よりも先に恋人にならなきゃね。
 甘える智美、可愛い過ぎて新鮮」

「私にはまだ周平さんの人生のパートナーという位置付けは荷が重くて」

「恋人ならいいわけ?」

「えっと、はい。そうみたいです」

 ハッキリしない物言いに葉山は意味深に笑う。

「あ、あの、周平さん?」

 戯れ合う感じではない触れ方に変わった葉山に声が裏返る。
 身じろぐ智美を捕まえて葉山は囁いた。

「琉依は眠っているよ。
 恋人の時間だ。
 どれだけ愛しても足りないんだ」

 彼の欲情にあてられて息を飲む智美へ葉山は妖艶に微笑んだ。
 恋人の時間はまだまだ明けることはないようだ。

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