迷子のシンデレラ

 今の職場は恵麻の紹介だ。
 社長と恵麻は顔見知りでいい条件で話をつけてくれた。

 その上、戻るかもしれないことを見越して話をしてくれてあるなんて……。

 言われてみれば最近、事務にアルバイトを雇い始めた。
 すごく出来る子で私がいなくても心配はいらないのかもしれない。

『恵麻はなんでもお見通しだったんだね』

『そりゃ二人ともお互いを好き合ってるって私でも分かるのに、智美は彼から離れるって言うんだもの。
 どれだけ智美の気持ちを正したいって思ったか』

 それでも智美の思いを尊重してくれた恵麻に胸が熱くなる。
 その一方で未だに智美は決め兼ねていた。

『ありがとう、恵麻。
 でも……まだ彼と結婚するかどうかは……』

 ぐずぐずしている智美に恵麻は呆れた声を上げた。

『何、言ってるのよ。
 彼のこと智美だって忘れられなかったくせに』

 そう言われてしまうとぐうの音も出ない。

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