迷子のシンデレラ
『1年前、智美に頼まれて二人が離れることに協力したわ。
その間、智美は自分と赤ちゃんの生活基盤をしっかりさせて今後のことを考える時間を。
彼には会わないでいても智美のことを思い続ける気持ちがあるかどうかを確認したくて』
そこまで考えてくれていたなんて……。
さすが恵麻だなぁと感心してしまう。
『彼は智美のことを諦めなかった。
会う度に智美のことを問い詰められて大変だったんだから』
あっけらかんと言う恵麻に曖昧な笑みをこぼす。
『今なら葉山さんが智美の前に現れても冷静に対処できるだろうって思ったから彼へ智美の居場所を話したの。
智美は彼を受け入れる。そう確信していたわ』
恵麻に断言されて智美はたじろいだ。
けれど恵麻は戸惑う智美へ言葉を重ねた。
『いい加減、彼を信じてあげなさいよ』
『彼を……信じる……』