迷子のシンデレラ
『智美がいない間、彼が前みたいに遊び始めたら認めないつもりでいたけど……。
本当に一途だったんだから。
探している最中は智美のこと一夜限りの相手とも知らなかったし、自分との間に子どもがいることを知らなかったのに、よ?』
そうだ。
そういうことになる。
彼は訳もわからず自分の前から消えた女性をずっとずっと待ち続け探し続けた。
それはあの仮面舞踏会の夜、情熱的な夜を過ごしたシャーロットではなく、ただの榎下智美。
自分へ向けられた深い愛に改めて気付かされて胸が締め付けられる。
『彼なりに智美が他の誰かと幸せでいたら潔く身を引くつもりでいたみたい。
子どもがいることを知って落胆し、けれどシングルと知って彼は智美を支える決意をした。
最初は別の人との子どもと思ったようだけど、それでもいいって。
そんな彼を見兼ねて智美はあの時の葉山さんとの一夜の相手だってことを明かしてあげたってわけ』