迷子のシンデレラ
自分はどれだけ浅はかだっただろう。
彼は自分の血を引いた我が子だから、跡取りとして取り上げる為に来たと当初思っていた。
または自分に都合の悪い因子を取り除く為の口封じに来たのかとまで思った。
そんなものはどこにも無かった。
ただ深い愛があるだけだった。
『すごく……会いたくなっちゃった』
『それはそれはご馳走さま。
彼、長い休暇をもらっているはずだから、まだ近くにいるんじゃない?』
『え……。そんなわけ……』
智美の驚きに恵麻は得意げに言った。
『彼と智美の気持ちが通じてなければストーカーよ。彼。
危ないくらい智美を想ってるんだから』
彼に電話しなさいよ。と、切られて、恵麻の声が聞こえなくなった携帯を見つめる。
帰り際にもう一度交換した電話番号。
スクロールして電話帳を開いてみる。
葉山周平の文字を見るだけで胸が高鳴る。
思い切ってその番号へ電話を……。