迷子のシンデレラ

 自分から逃げておいて勝手過ぎると思うのに寂しさに襲われて仕方がない。

 ぐずり始めた琉依に我に返ると抱き上げた。

「どうしよう。ママ、周平さんのこと……」

 返事をしてくれるはずのない琉依へ呟いて嘲笑する。

 今さら気がついた。
 彼の深い愛に触れてしまった今。
 彼の前から逃げることはおろか、片時も彼から離れたくない自分がいた。

 彼へ身を焦がしながら琉依をあやしているとインターホンが鳴った。

 ボロアパートでは誰が来たのか確認できる術はない。
 深夜に近い時間、不安になって息を潜める。

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