迷子のシンデレラ
「あの、本当にありがとう。
急に来ちゃって、でもそういう時に貸してって言える友達もいないんだって思ったら悲しくなってきて……」
遠い世界の人だと思っていた彼女が急に愛おしくなって笑顔を向ける。
「私で良かったらいつでも声をかけて。
ハンカチ、ティシュくらいなら貸してあげられるわ」
そう言うと彼女は頬を緩めて微笑んだ。
そこから思っていた以上に律儀な恵麻が借りたハンカチを洗って返してくれた。
自然と話すことも増え、今では親友と呼んでくれるまでになった。
一緒にランチするほど仲が良くなり、智美が仲良くしているものだから、総務課の中でも話しかける人が増えて恵麻の笑顔も増えた。
今日も恵麻と出掛けたランチから戻ると総務課の女性たちが色めき立っていた為、二人も話に加わった。
「どうしたんですか?」
近くにいた先輩へ話しかけると口元に手を添えて声を落として教えてくれた。