迷子のシンデレラ
「短いから必要ないです」と、断っても「じゃ僕の為に伸ばしてよ」と言われる始末。
しかも智美へ渡す為に智美を会社前で待つまでの間に用意したらしいのだ。
食事をOKするかも分からない相手にプレゼントを用意する葉山の手慣れた感じにため息しか出なかった。
手慣れた感じが誰にでもやっていることなのだと気安くもらっても罰は当たらない気もして、つい受け取ってしまった。
伸ばすまでどれだけかかるのかと気が遠くなって、試行錯誤の末に智美の後頭部に鎮座する。
せっかく戴いたからという理由とは言え、自分を着飾ることがくすぐったい。
「ま、やけどしない程度に楽しむのはいいのかな。
智美の心が潤うのなら。
つらくなるのならやめるんだよ?」
「はい。弁えてます」