迷子のシンデレラ

「彼女はシンデレラみたいだった。
 それも……。
 そうだな。迷子のシンデレラなんだ。
 自分がどこに行けばいいのか、どうすればいいのか迷っているような……」

 まるであの日の智美の心を見透かされたみたいで胸が軋んだ。
 あの場で不安だった智美の心を図らずも彼はすくい上げてくれたのだから。

 彼は遠くを見ながら、シャーロットに想いを馳せながら話した。

「あの夜に、僕のところへ来ていいんだよ。と、伝えれば良かった。
 いつだって、君なら大歓迎だって」

 本気でそう思ってくれていそうな彼に胸が熱くなる。

「それを聞いたら彼女は喜ぶんじゃないですか?」

「そうかな」

「えぇ。きっと」
 
 勘違いしてはいない。

 彼が見ているのは私じゃない。
 私に似たあの日のシャーロットだ。

 素性が分からなくて神秘的で、多くを語らない女性。

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