愛しい君を殺したのは誰?
『隼人…お願い助けて』

『どうした、奏?』

子どもみたいに泣きじゃくる奏を、僕なりに精一杯なだめた。

『一体、何があった?落ち着いて話して』

奏は、しばらく涙を必死でこらえている様子だったが、ゆっくりと話し始めた。

『朝起きたら、先生の部屋が荒らされてて、先生がいなくて』

『…』

僕は、しばらく答えに困った。

『強盗に入られたのかな?』

奏の声は、恐怖で震えていた。

『例えば、執筆が進まなくて苛立って、部屋を荒らして出て行った…って可能性は?』

『そんな…』

『よく状況がわからないし、とにかく行くよ、そのまま待ってて』

奏との電話を切った後、僕は、すぐに先生の家に向かった。

『何事もなければいいけど』

思わず、そうつぶやいた。


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