愛しい君を殺したのは誰?
僕は、怖くて考えることを止めてしまいたかった。

奏は、絶対に、そんな恐ろしいことが出来る人じゃない。

信じたい。

先生は、首を締められて、クローゼットに入れられてたんだ、そんな力が奏にあるって言うのか?

無理だよ、あるわけない。

あるわけないよな…

でも…

『…隼人君?』

考えて黙っていた僕は、山下さんの言葉にハッとした。

『す、すみません。あ、あの…いろいろありがとうございました。最後に1つだけ。奏のお母さんは…おばさんは元気ですか?』

山下さんはゆっくりうなづき、言った。

『…元気と言う言葉が正しいのかわかれへんけど、生活は出来てるみたい。でも、何年も前から、近所付き合いはせーへんなったわ。私も全然喋ってないしね。1人で暮らしてはるけど、寂しいもんやな』

何だか、とてもむなしい気持ちになった。


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