愛しい君を殺したのは誰?
『奏!!どこに行った! 』

僕は、大きな声をあげた。

『僕はここだよ、奏、出て来てくれ!』

精一杯、何度叫んでも、奏は出て来ない。

そして…

僕は気づいた…

僕の周りを取り囲むようにいる人だかり。

警察官みたいだけど…

ゆっくり視線を落とし、自分の手元を見ると、なぜかナイフを両手できつく握りしめていた。

ハッとして、思わずそれを、地面に落とした。

その瞬間、大勢の人が、僕に駆け寄り、僕を押し倒して馬乗りになった。

何をするんだ!

僕は、奏を探したいんだ、一刻も早く奏に会いたいんだ。

『やめろ!離せ!離してくれよ』

痛かった。

みんなに押さえつけられ、手錠をかけられて、本当に痛かった。

僕は、泣き叫んだ。

だけど、それでも、両親を亡くした子どもの頃の本当の苦しみに比べれば、このくらいの痛みは何でもなかった…

あの胸を切り裂かれるような、例えようのない苦しみに比べれば…


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