愛しい君を殺したのは誰?
時間が流れ、奏は、憧れの出版社に務めるために、東京の大学に行く決心をした。

お母さんと離れることへの寂しさや不安はあったようだが、夢を追いかけるための大きな決断だった。

その頃には、奏への虐待はほとんど無くなっていた。

僕も、当たり前のように、奏と同じ道を目指した。

だって、一生守るって決めていたから。

東京に出たあとは、お互い、一生懸命頑張って生きてきた。

奏は、それこそ、がむしゃらに。

でも、奏が先生と結婚したことで、事態は大きく動いていったんだ…

僕は、恐れていた。

奏が先生の女癖の悪さに耐えきれず、先生を…

そんなことになったら、今度こそ、もう逃げきれない。

奏を刑務所に送るなんて、そんなの絶対に嫌だった。

なんとしても、僕は奏を守りたかった…
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