Open the door -運命の彼は日本代表?-
ハナエさんを車の助手席に乗せるサポートを終えると、私も運転席に乗り込んだ。
駐車場から出発する前に、助手席の窓を開けていつものように挨拶をしようとしたんだけど……。
「瑛人、あなた私が帰る頃、まだ家に居てくれる?」
私の挨拶より先に口を開いたのは、少し寂し気なハナエさんだった。
いつもお正月とお盆にしか帰ってこないって、淋しがってるんだもんね。
久しぶりに会えたんだから、少しでも長く一緒に居たいんだろうな、ハナエさん。
「あぁ、今夜は友達と食事に行くんだ。ばあちゃんが帰ってくる時間にはいないと思う」
いくらイケメンでも、いくらサッカー日本代表って言ったって、やっぱりハナエさんの前では一人の孫なんだ。
この仕事を始めてから、時々見ることのある利用者の方ととお孫さんのやり取り。
この二人のやりとりだって、同じような光景だ。
ただ、そのお孫さんが日本代表選手ってことを除けば、だけど。