Open the door -運命の彼は日本代表?-
◇◇◇
「まさか、帰りの送迎も私が担当することになるだなんて……」
ハンドルを握りながら、誰にも聞こえないように呟いた。
いつものように小林さんご夫婦を後部座席に乗せ、隣にはやっぱり普段通りにハナエさんが座り、運転席にはもちろん、私。
昨日と同じ交差点、赤信号で停まって、今日はハナエさんの家に向かう。
もうほぼルーティン化しているこの送迎ルートを運転しながらも、こんなに憂鬱なのは、朝と変わらないほぼスッピンといっても過言ではないメイクと、マスク。
それから、取り急ぎ纏めただけの髪型のせい。
それにいまだに、朝の出来事を引き摺っているからだ。