Open the door -運命の彼は日本代表?-

「本日は、どのようなご用件でしょうか」

ここは職場、しかも業務中。
いくら有名人だからって、こんな私用電話なんて、許されるわけないじゃない。

あくまで事務的に、感情を含まずに伝えた言葉は受話器越しにしっかりと瑛人の耳に届いてたみたいだ。

「あのさ、昨日、俺たち付き合うって言ったよな?」

付き合うって言ったことは言った。
だけど、それはハナエさんを悲しませたくないって気持ちだけだったし。
それに、付き合うっていったって、私と瑛人じゃ住んでる世界だって違いすぎるし、距離だってありすぎる。


そもそも、見つめられてキスされて、どうにかしちゃった私が断り切れなかったせいで、こんな状況になっているんだけど……。

だけど、瑛人の有無を言わさない口調は電話越しにも健在らしい。

瑛人の質問を否定することが出来なくって、黙り込んだ私の耳に瑛人の小さく笑ったのが届く。

< 88 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop