Open the door -運命の彼は日本代表?-
瑛人は、きっと忙しいんだろう。

そろそろ電話を切ろうと思い始めた5コール目のこと。

「……もしもし?」

やけに艶のある色気をおびた低い声が電話越しに耳をくすぐる。

「瑛人?私……」

「うん。みなみ、ありがと」

勝ち気で自信たっぷりの瑛人のイメージとは異なる、素直な言葉が私の心をキュンとさせる。

「みなみは連絡するって信じてた」

瑛人の言葉に、若干負けた気がして口を尖らせる。

「……なんてな。昼はあんなこと言ったけど、本当はみなみから連絡があるかどうか分からなくって不安だった」

冗談とも本気ともつかない瑛人の発言は、やっぱり私の気持ちをかき乱す。

「だって、今日みたいに職場に電話かけられたら、困るもの」

「ははは、そうだな」

私の出来る限り最大限の嫌味。
瑛人は私の言葉に声を出して笑った。


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