胎動
「どうしよう。あの子のご飯がないと、あたしの願いも叶わないよね……」


かと言って、血液を調達することなんてできない。


病院へ忍び込んで輸血バックを盗んでくる?


そんなことできるわけないし……。


逡巡していると、トイレの汚物入れが視界に入った。


「あ……」


小さく呟き、蓋を開けてみる。


そこには使いさしのナプキンが入れられていた。


「ナプキンか……」


けれど、これを素手で触る事は気が引けた。


さっきのティッシュとはわけが違う。


「あ、そっか。あの子をここへ連れてくればいいんだ」
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