胎動
ドアを開けると、ソレがマットの上で跳ねて遊んでいた。


「こら、マットは遊び道具じゃないよ」


そう声をかけると跳ねるのをやめてこちらへ飛びついて来た。


「ご飯を用意してきたよ」


そう言ってタオルを手渡すと、すぐに血を吸い始めた。


ジュルジュルと音が鳴る度に、タオルは綺麗な白色に戻って行く。


「お前は本当に食欲旺盛だね。これからが大変そう」


あたしはそう呟き、ソレの頭をなでたのだった。
< 114 / 231 >

この作品をシェア

pagetop