胎動
夜の11時を過ぎたところだった。


「そろそろかな」


そう呟き、簡単に顔を洗って表に出た。


外はずっかり暗くなり、街灯の明かりがついている。


あたしは迷うことなく、真っ直ぐに交番へと来ていた。


「どうかしたの?」


若い警察官が、こんな時間の訪問者に驚いている。


「あの、叔父と叔母がまだ帰ってこないんです」


あたしは仕事が終わる時間になっても2人が帰ってこないと、適当に説明をした。


一応、捜索願を出しておかないと後々なにか疑われるかもしれないし。


「ちょっと待ってね」


警察官はそう言うと、奥へと引っ込んんでしまった。


そうだ、今の内に祖父母にも連絡しとかなきゃ。


そう思い、スマホを取り出した。


祖父母とは月に1度は連絡を取り合っていて、叔父と叔母の様子を報告していた。
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