胎動
それは叔父と叔母と一緒に暮らしている時からの癖だった。


自分で掃除をしたお風呂に、一番後に入る。


それが当然のこととして生きて来たからだった。


「あたしは居候の身なんだから、そのくらい謙虚で当たり前でしょ」


「それなら、早く家族にならないとな」


透の言葉にあたしは立ち止まってしまった。


「なに呆然とした顔してんだよ」


「と、透が急に変な事を言い出すからでしょ!」


そう言い、透を追い越して大股で歩き出した。


透と家族になる。


暖かな家庭を作る事ができる。


そう考えると本当に嬉しかった。
< 160 / 231 >

この作品をシェア

pagetop