胎動
叔父や叔母のような傲慢な人間は誰もいない、優しい家族になるんだ。


学校までの道のりを透とじゃれ合いながら歩く。


それだけで気分は違った。


それなのに……「あれ?」ふと視線を感じて立ち止まっていた。


周囲には行きかう生徒やサラリーマンの姿。


車も沢山通っている。


通勤、通学の時間帯だから普通の光景だった。


「どうした?」


「なにか、視線を感じて……」


「またか? 最近多いな」


叔父と叔母が死んでから、時々こうして視線を感じることがあるのだ。
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