胎動
「本物の悪魔なワケないか……」


そう呟いた時「1人でなにしてんの?」と、声をかけられた。


振り返ると梓が立っている。


あたしが1人で教室を出て、なかなか戻ってこなかったから探していたようだ。


「ちょっと調べ物」


「悪魔山について?」


画面を見られていた様だ。


「まぁ、ちょっとね」


あたしは曖昧に頷いた。


「昔お爺ちゃんが言ってたよ。人は目に見えなくて怖い物に名称を付けることで、恐怖心を薄れさせていたって」


梓の言葉にあたしは先ほどの記事を思い出していた。
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