胎動
☆☆☆

翌日。


放課後が来るのを待って、あたしと透は照平に話しかけていた。


「なんだよ、2人が話かけてくるなんて珍しいな」


帰ろうとしていた照平をひと気のない廊下へと呼ぶ。


「急に悪いな。ちょっと聞きたいことがあって」


「聞きたいことって?」


首を傾げてそう聞いてくる照平。


透に甘えてばかりではいけないと思い、あたしは口を開いた。


「照平の、ご両親についてなんだけど」


そう言うと、照平の表情が険しくなった。


誰だってそうだろう。


「なんでそんな話しなきゃいけないんだよ」


そう言って帰ろうとする照平へ向けて「あたしも両親がいないの」と、声をかけた。
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