胎動
「た、食べるなら……あたしだけにして!!」


次の瞬間、あたしの視界は赤く染まっていた。


自分の体が掴み上げられて肩を噛み千切られ、血が舞ったのだ。


ソレがあたしの腕を美味しそうに粗食する。


じゅるじゅるという血を吸う音ではなく、バリバリと力強くかみ砕く。


「お……お母さんよ……?」


最後の勇気を振り絞ってそう伝えたが、ソレの牙があたしの顔面に突き刺さったのだった。
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