胎動
目撃証言なんてあるはずもなく、証拠もない。


完全犯罪が成立する化け物なのだ。


「で、でも、とりあえず恐怖心を払拭しようってことになってるんだよね?」


話を聞き終えた梓がそう聞いて来た。


「うん……」


だけど、正直そんなことができるとは思えなかった。


悪魔山について知っている人は全国にいるのだ。


その人たちの中から恐怖心を消すなんて、夢のような話だ。


「それならあたしでも協力できるじゃん! 悪魔山は怖くないってブログに書いて載せてあげるよ」


「ありがとう梓」


それがどれだけ効果があるかわからない。


だけど、少しでもなにかしていたかった。


「もう1度悪魔山へ行ってみてもいいかもしれないよな」


そう言ったの透だった。
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