胎動
今日写真で見た、赤茶けた背の高いフェンス。


「え?」


疑問から立ち止まった時、周囲がすでに暗くなり始めていることに気が付いた。


「うそ、なんで!?」


辺りは田畑に囲まれて、家は数件の農家が建っているだけ。


ここは間違いなく悪魔山の麓だったのだ。


悪魔山へ来る予定なんてなかったし、通い馴れた道を歩いていたハズだった、


それが、こんなに遠くまで来るなんてありえない。


「早く帰らなきゃ」


焦って踵を返す。


その時、スマホが震えた。


スカートのポケットから取り出して確認してみると、それは叔母からの電話だった。
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