胎動
吐き気
翌日、気分は随分良くなっていた。


久しぶりに、家事の心配をすることなくゆっくり眠ることができたし、透のお母さんの料理がとても美味しかったからかもしれない。


あたしは透の両親に何度もお礼を言い、透と2人で家を出た。


こうして並んで学校へ向かうのも、なんだか恥ずかしい。


まるでカップルみたいだと思ってしまう。


「友里はずっと俺の家にいればいいのに」


透がそんなことを言うものだから、余計に意識してしまった。


ずっと透の家にいる。


そんな夢のようなことができたら、どれだけ幸せだろうか。


だけどあたしはこんなとき、どう返事をすればいいかわからなかった。


両親が死んで以降、人に甘えるということを忘れてしまった。

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