胎動
☆☆☆

朝吐いてしまったあたしだけれど、お昼頃になるとすっかりお腹が減っていた。


今日のお弁当も透のお母さんが作ってくれたものだから、お昼がとても楽しみだったんだ。


「いただきます!」


元気にそう言って玉子焼きに手を伸ばす。


砂糖で味付けされていたほんのりと甘い玉子焼きに、頬っぺたが落ちそうになる。


「すごい食べっぷりだね……」


次々とおかずに手を伸ばすあたしに、梓が呆れている。


「透のお母さんの料理は絶品なんだってば」


あたしはそう言い、梓の口元にから揚げを持って行った。


梓は条件反射のようにそれを口に入れる。


「あ、おいしい!」


目を輝かせる梓に、自分が褒められたみたいに嬉しくなった。


「でしょ?」

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