胎動
☆☆☆

何度調べてもらっても、結果は変わらなかった。


あたしは妊娠している。


そして堕胎できないところまで赤ちゃんは成長しているのだ。


あたしには彼氏がいないし、そういう経験もない。


あの家にいて四六時中家事をしているのだから、そんな暇なくて当たり前だった。


あたしは自分の腹部に手を当ててみる。


朝よりも、もっと膨らんでいるような気がしてすぐに手を離した。


ここになにかがいることは確実みたいだ。


でも、なにが……?


不意に、夕夏の友人の写真を思い出していた。


女の子の腹部を突き破って出て来た黒い化け物。


思い出した瞬間、お腹の辺りにドンッと強い衝撃を受けて立ち止まった。
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