胎動
なにかにぶつかったような衝撃じゃない。


お腹の中から蹴られたような衝撃。


「胎動……」


呟き、サッと青ざめた。


続いて左右に強く首を振って自分の考えをかき消した。


そんなハズない。


あたしが妊娠なんてするハズないんだから!


自分自身にそう言い聞かせてみても、悪い予感は膨らんでいく。


心が重たくて学校へ向かう道の途中でついに立ち止まってしまった。


このまま学校へ行って勉強を受けることなんてできない。


あたしは鞄を持ち直し、細い路地へと足を進めた。


周囲には民家が立ち並び、その角には公園があった。
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