胎動
だけど、そこに祠はなかったのだ。


一面雑草に覆われている。


「なんでないの!?」


空中へ向けて叫びながら、祠があった場所へと足を進める。


その場所も雑草が生い茂っていて、建物があったような形跡はなかった。


あれはすべて夢だったとでも言うんだろうか?


それなら、あたしのお腹にいるのはなに?


絶望感が湧き上がってきた時、足で何かを踏んでしまって立ち止まった。


チャリッと微かな音がして下を向くと、そこには錆びた鎖が落ちていたのだ。


「あ……」


あの時見た鎖と同じ物だ。
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