胎動
叔父の足が腹部を直撃した瞬間、頭の中は真っ白になっていた。


『妊娠しています』


『堕胎できる期間は過ぎています』


医師の言葉が何度も頭の中でリピート再生された。


「い……たい……」


叔父と叔母は何か罵倒をしているが、そんな声全然聞こえてこなかった。


お腹を抱えてうずくまる事しかできない。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!


お腹の中のソレが悲鳴を上げている。


あたしも同じように悲鳴をあげた。


叔父と叔母の驚いた顔が見える。


世界がグルグルと回りはじめる。


やがて意識は遠くなり、あたしは気絶してしまったのだった。

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