胎動
☆☆☆

再び目を開けた時、部屋の中には朝日が差し込んでいた。


しばらく天井を見つめてぼんやりとした後、あの出来事を思い出して弾かれたように飛び起きた。


電気をつけて部屋の中を確認する。


いつもと変わらない四畳半がそこにあった。


一度安堵し、それから自分が横になっているマットへと視線をうつした。


昨日、この布団の中にソレがいたのだ。


あれが夢じゃなければ、今もまだ……。


早鐘を打ち始める心臓に深呼吸を繰り返し、あたしは布団を一気にはぎ取った。


そこにあったのは、自分の両足。


マットのあちこちに血痕があるものの、夕べ見たソレの姿はどこにもなかった。


あたしはマットに付着している血に触れて見た。


人間のものなのか、ソレのものなのかわからない。
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