殺戮合宿〜モンスター〜
それを見てあたしは思わず嘆息した。


これ、全部歴代の先輩たちが作成した映画なんだろうか。


そう思うと全身の血が湧きたつ感じがした。


「すげぇ……」


孝利が目を丸くして呟いた。


「最近は部員が減ってきたけど、昔の映画部は活気があったらしいぞ」


浅野先生はそう言い、自慢げに棚の作品たちを見つめた。


藤棚高校映画部は、沢山の映画関係者を排出してきたことで有名だった。


今年の入部希望者は6人だけだったけれど、浅野先生は前任の先生の意思をしっかりと受け継いでいる。


きっと、また沢山の成果を上げて部員たちも増えることだろう。


「どれを見てもいいの?」


麻由子が浅野先生へそう聞いた。


「もちろん。ただ、今日はもう時間が遅いから1本だけな」


そう言われて、あたしは腕時計を確認した。


高校の入学祝いに、両親がくれた茶色く細いベルトのものだった。
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