殺戮合宿〜モンスター〜
それから兄に栗田さんの番号を教えてもらい、電話をかけていた。


知らない人に電話をかける時はいつも緊張するけれど、今は別の緊張感が体を覆っていた。


この電話でなにかが変わるかもしれないのだ。


『もしもし?』


知らない番号からだからだろう、栗田さんは警戒しているような声で電話に出た。


兄よりも低く、男らしい声だ。


「もしもし、私長田洋二の妹の恵里菜と言います」


あたしはソファの上で背筋を伸ばしてそう言った。


『洋二の妹? なんで俺の番号を知ってるんだ?』


先に兄から連絡を入れてもらえばよかったかもしれない。


そう思っても、もう遅い。


あたしは話しを先に進めるしかなかった。
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