殺戮合宿〜モンスター〜
その手にはバッドが握りしめられている。


「俊和……?」


なんで?


なんで助けてくれようとするの?


そう思った次の瞬間、化け物の息がうなじにかかった。


ハッとして振り返ると化け物がすぐ目の前にいる。


いつの間にこんなに近くまで来たのだろう。


全然気が付かなかった。


それでもあたしは逃げることができなかった。


歯の根がかみ合わず、カチカチと音がなる。


化け物大きく口が開かれ、牙がむき出しになる。


殺される――!!


キツク目を閉じた時だった。


バキッと音がして静寂が訪れた。


恐る恐る目を開けると、そこには倒れた化け物とバッドを握りしめた俊和がいた。
< 150 / 258 >

この作品をシェア

pagetop