殺戮合宿〜モンスター〜
化け物だ!!


咄嗟にそう思い、悲鳴を上げる。


しかしそれは違うとすぐに気が付いた。


廊下からの薄明りはベッドまで届いていないのだ。


それでも肉眼で見えるということは、これは化け物ではない。


……人間だ!


そう気が付いたあたしは、すぐに黒い人へ向けて突進していた。


よく見るとベッドの上の麻由子は服が乱れている。


「くそっ!」


舌打ちをして逃げ出そうとしていた男の顔が、薄明りに照らし出される。


「え……」


その顔を見た瞬間、あたしは絶句していた。


その人は逃げる暇もなく、あたしの悲鳴を聞きつけた仲間たちによって囲まれていた。


「孝利……なんで……?」


あたしは唖然としたまま黒い服を着た孝利を見つめたのだった。
< 158 / 258 >

この作品をシェア

pagetop